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ザ・セックスセラピスト



ザ・セックスセラピスト THE SEX THERAPIST
野島 孝一 著

新書/225ページ/1050円(定価)/ISBN:4−9903042−0−9
発売:2006/06/01

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著者メッセージ

日本の社会がどんどんおかしくなっていると思いませんか。中学生や高校生が親を殺し、逆に親が幼い子を虐待して殺す。変質者が小学校に押し入って子供たちを殺傷する。子供の命が狙われ学校へも安心して送り出せない。夫が妻に暴行を加え、妻はキッチンドリンカーになり万引きし、パチンコ狂になって家庭を顧みない。子供は凶暴になり親をぶちのめすか、あるいはまったく無気力になって引きこもってしまう。戦後の日本は生活が貧しく餓死寸前の人たちもたくさんいたが、こんなにひどい世の中ではなかった。

こうなった原因はいろいろあろうが、そのひとつが性の未発達に起因する女性の冷感症ではないかと喝破したセラピストがいる。東京催眠心理研究所長の加藤隆吉さんだ。私は毎日新聞記者時代から加藤さんと面識があり、「冷感症の女性が日本の社会を危うくしている」という彼の持論に興味を抱いた。

ヒプノセラピー(催眠療法)は臨床心理学における科学的リラックス療法として欧米で重視されてきた。精神医学とは付かず離れずの関係にあって医学と心理学の隙間を埋めてきた。体の調子が悪いけど、医者にかかっても原因がわからず、症状が改善されない。そんな方にヒプノセラピーが有効なのだ。ヒプノシス(Hypnosis)というのは催眠のことだが、日本では催眠術は、なにか得体の知れない怪しげなものと思われてきたふしがある。マジック・ショーに使われた歴史がるので余計にそう思われてきた。でも本当は科学的なリラックス方法なのだ。ヒプノセラピーについて多くの人々に実態を知ってほしいと門外漢である私が悪戦苦闘して書いたのが本書だ。

現代社会では人間関係が原因のストレスで大勢の人が苦しんでいる。そういう人々の緊張感を和らげるのにヒプノセラピーは有効なのだ。セックスに満足感が得られない女性が問題となっている。セックスで絶頂感を得られない女性は、臨床心理学で不感症、冷感症と呼ばれている。そのような女性は医学的手段では、なかなか治せないという。催眠を応用したセックスセラピーが、今のところもっとも有効だと思われるのだ。しかし女性本人は冷感症をあまり自覚していないことが多いし、セックスの相手だって彼女が冷感症なのかどうかよくわからないと思える。そのような女性が結婚していれば、夫にも影響が出るのではないだろうか。妻が夫を拒絶するので夫婦関係がうまくいかず、夫は欲求不満になる。健全な男性が、その影響で第二次的なインポテンスになってしまう。家庭内はめちゃくちゃになるから子供もおかしくなる。それが広がると、日本の社会そのものが 歪んでくると加藤さんは推論した。

加藤さんが50年間の臨床心理士の経験を通して考えたとこだ。現実に男性のED(機能障害)は激増しているように思えるし、完全な性感が得られない女性も増えている。 女性の社会的地位が向上し、家庭を出てバリバリ働く女性が増えた。結婚しない女性が増えた。多忙を理由にセックスをしないカップルが多くなり、性的な障害はますます表に出にくくなっている。このままいくと、原因がわからないまま社会全体の中で異常な行動をする人間が増えていくおそれがある。
加藤隆吉さんは、心因性の疾患がある人々を数多く治療してきた。ことに女性の冷感症、男性のEDに対するセックスセラピーは、クライアントから高い評価を受けた。世界的にも日本を代表するセラピストとして評価されている。彼が唱えているヒプノセラピーを応用したセックスセラピーについてわかりやすく伝えたいというもこの本を書いた動機だ。

 もうひとつの動機は、加藤隆吉さんの名誉を回復したいと考えたからだ。1994年の春、加藤さんは医師法違反で逮捕されてしまった。NHKテレビの昼のニュースで知った私も仰天した。わが国を代表する臨床心理学の権威が、まるでニセ医者の扱いをされていた。加藤隆吉さんは加藤洋二のペンネームで催眠関係の著書を数多く出版し、テレビで催眠術を披露する有名なタレントだった。それなのにどうして逮捕、3ヶ月の拘留などということになってしまったのだろう。裁判では加藤さんのセックスセラピーが医師法違反になるかどうかの争いとなり、1審の東京地裁は実刑判決を下した。検察側はセックスセラピーが怪しげでけしからん行為と主張した。2審の東京高等裁判所は加藤さんのセックスセラピーを臨床心理学の正統な治療行為と認め無罪を言い渡した。しかし加藤さんが長年培ってきた信頼は失われてしまった。それを取り戻したいと思った。
セックスセラピーというと、いかがわしい行為ではないかと思っている人が、まだまだ多くいるものと思われる。そういう人たちにリラクゼーションと行動療法を併用するセックスセラピーの実態を知ってもらい、誤解を解いてもらいたい。これからセラピーを受けようとする人たちには、決して怖いことはなく危険もないので、安心して信頼できる専門家に診てもらうようアドバイスしたかった。女性の多くは自分が冷感症かどうか判断に迷うと思われたので自己診断票も付けさせていただいた。

LINK

◆“人間と性”教育研究所HP  「すてきな性 ゆたかな生」
◆天然工房
◆ブックレビューBlog◆
ある主婦のおとぎ話・・・
http://plaza.rakuten.co.jp/suzukatumama/diary/200608230000/
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